コラム 心が折れた瞬間
10年近く一口馬主をしていると、あーって思う瞬間がある。
今回は、心が折れた瞬間のエピソードを紹介します。
彼の名前は、ワンダフルラスター。追加募集のマル外。ケンタッキー生まれ。
音無厩舎よりデビューして新馬勝ち。三戦二勝で、川崎競馬場で行われた全日本2歳優駿に出馬。ちなみに、初新馬勝ちと初重賞出走を私にプレゼントしてくれた馬。
12月の川崎ナイター競馬は、凍えるほどの寒さで、しかも、当日の馬場は、砂が深くスピードを生かせる馬場ではなかった。
レースがスタートし、剛腕ムーアを背に逃げに打って出る。
ペースが速くなり、3コーナーではすでに手ごたえが怪しくなる。ズブズブに刺されて4着でゴール。
彼がズブズブになった瞬間、思わず、あーって悲鳴をあげてしまった。
2歳の若駒が、強烈な寒さの中、今まで体験したことのない深い砂にもがき苦しみ、気力を振り絞ってのゴール。
人間でも、心が折れるなぁと。
その後の彼は、直線苦しくなると、逆噴射。一度も掲示板に載ることなく現役を退いた。
競走馬のメンタルは、無茶苦茶大切だと教えてくれたエピソード。